■ 抄録・要旨
| ムサシトミヨは、環境省および埼玉県が発行する「レッドデータブック」において、ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種(絶滅危惧TA類)としてリストアップされている。埼玉県では、ムサシトミヨを「県の魚」として指定するとともに、その生息地の一部を「県の天然記念物」として指定している。また、「埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例」に基づいて、「県内希少野生動植物種」のひとつとして指定し、重点的に保護する方針を示している。このような背景のもと、埼玉県では、ムサシトミヨの保全策を講じることが求められている。そのために必要な基礎的情報のひとつとして、生息地における遺伝的多様性の現状把握がある。
この発表では、ムサシトミヨ生息地における母系統の多様性を解析するために、PCR-RFLP法(Polymerase Chain Reaction-Restriction Fragment Length Polymorphism法)に基づいたミトコンドリアDNAマーカーを開発するとともに、これらのマーカーを用いて、 生息地におけるその現状把握を試みたので報告する。
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